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🌐ニュータイプ覚醒塾

バリスタのよもやま話 第64話

言葉の保身と消えゆく主体性



「~して頂ければと思います」

これ、見聞きしたことはありませんか?
私は最近、この言い回しによく遭遇するのですが、どうにも引っかかるんです。

きっと多くの人は何も感じないでしょう😐

せいぜい、丁寧とか優しそうとか、そんな印象しか抱かないかと。
何かしら違和感を覚えたとしても、わざわざ口には出さず、そのまま流してしまう。

でも私は、見過ごせないんですよコレ‥日本人として。

なぜって❓
こういう言い回しは、日本語としておかしいからです!


そんなわけで今回は、
この奇妙な日本語表現について、適度に斬りながら話をしていきます☕



現代の日本語には、主体性を曖昧にする保身表現‥すなわち責任回避という保険をかけた言い回しが溢れています。

以下に代表的なものをいくつか挙げてみますね👍


1️⃣ 〜して頂けると助かります
本来「してください」または「して頂けますか?」と言えばいいところを、「助かる」というワケのわからない言葉がくっついているのです。
相手に物事を依頼をしているはずなのに、なぜか「助かります」
助かるんですか?え?誰が誰を‥誰かが救助を求めているんでしょうか?
初めて聞いた時、私はそんなふうに首をかしげたものです。


2️⃣ 〜してもらえると嬉しいです
個人的な感情を持ち出すことで、要求を曖昧にする。
構造は1️⃣と全く同じです。
私はアナタ(相手)を喜ばせるためにそれをするんですか?と言いたくもなるし、もっと言えば、「そうですか!嬉しいんですね~」で終わらせちゃいますよ?行動はしない
いずれにしても、これは依頼として成り立っていないんですよ。意地悪でしょうかね。

3️⃣ 〜して頂ければと思います
「思う」という曖昧な表現で、自分の意思に妙なボカシが入っていること、あなたは気づいてますか?
コレ、ある意味で上のふたつよりもさらに一段、奇妙な言い回しなんですよ。
思っているだけで、実際に相手がしようがしまいが、言うべきことは一応言ったので、あとはあなたの責任です、私は関係ないですからね。というニュアンスが見事に隠れているのです。


これらの言い回しには、はっきりした共通点があります。
それは、自分の意思や責任を曖昧にし、その判断を相手に押し返す構造です。

こうした過剰な敬意表現について文化庁は、
場面や相手にふさわしくないものは、かえって相手を不愉快にさせ、円滑な意思疎通を妨げることがあるとしています。さらには、不必要な自己卑下や慇懃無礼な言葉遣いになる場合もあると指摘しています。
要するに、丁寧にしているつもりで、実際にはただ頓珍漢な表現になっているだけなんですよ😏


この表現の何がおかしいのか?何がいけないのか?
身近な例で示しましょう👍

例えば結婚のプロポーズ。
これを上記の3パターンで言うとこうなります。

私と結婚して頂けたら助かります
→借金を抱えた家庭の娘が、裕福な家柄の男性に救いを求めているような印象。

僕と結婚してもらえたら嬉しいです
→実際には結婚意思は弱くて、もし叶うなら嬉しいという曖昧な感情。

彼と結婚して頂ければと思います
→会社の女性社員に、取引先の重役息子と結婚するように指示する感じ。

これらはほんの一例ですが、充分でしょ?いかにおかしな言い回しだってことをお感じ頂けたかと思いますが、どうでしょう?

🚩日本人はなぜハッキリ言えなくなったのか?

このおかしな表現が広がっている理由は、だいたい3つです。

第一に、断られるのが怖い。だから最初から言い切らない。
「してください」とはっきり言えば、相手から「嫌です」と返される可能性がある他、命令調だと捉えている人が多い。
そこを正面から背負いたくないので、曖昧な言い方で逃げ道を作るわけです。
日本では昔から、個人の主張より場の空気や調和のほうが大事にされやすく、直接ぶつかる言い方は避けられがちです。情けない。

第二に、責任を負いたくない。
「〜いただければと思います」という言い方は、あとで「強制したわけではありませんからね」と逃げられる。はっきり言えば責任が立ってしまう。だから、言葉だけフワっとさせておく。ずいぶん姑息で卑怯な手法です。

第三に、丁寧さについての勘違い。
へりくだって言えば丁寧になると思っている人が多い。しかし、それは違います。本当に丁寧なのは、相手に余計な解釈をさせず、何をしてほしいのかを明確に伝えることです。このような曖昧な言い方は丁寧どころか、相手に読み取る手間を押しつけ、負担を与えているだけなんですよ。

日本語は、言葉そのものだけでなく、沈黙や間合い、表情や頷きのような非言語的な手がかりにも大きく支えられている言語文化です。
だからこそ、それに甘えて言葉まで曖昧にしてしまうと、結局は中身が空っぽになる。私はそう思います。


🚩言語学者が警告する「過剰敬語」の問題

多摩大学名誉教授の樋口裕一氏は、現代日本語の過剰敬語について次のように述べています。
「丁寧に言おうとして、むしろ傲慢になっている」
「自分の行為に本来は丁寧語である『ございます』がついている」

――つまり、本来は相手を立てるための敬語を、自分の言い方にまで過剰に使ってしまっている、ということです。たとえば、「私は今、データを見てございますが」や「以前より承知してございます」のような言い方です。

丁寧にしようとしているのでしょうが、実際には不自然で大げさに聞こえます。まるで子供がふざけて言っているのと同じです。
敬語を足せば上品になるわけではなく、むしろ言いたいことが見えにくくなり、言葉の使い方そのものが破綻してしまうのです。

過剰な敬語は、相手に丁寧さが伝わるどころか、かえって不快感を与えたり、会話の流れをぎこちなくしたりします。商業敬語やマニュアル敬語がその典型で、相手が誰であれ同じ型の言葉を当てはめるうちに、敬語が必要以上に膨らんでしまうのです。そうなると、言葉は本来の役目である意思疎通の道具として機能しにくくなり、何を言いたいのかが見えにくくなる。

大学生を対象にした調査でも、過剰敬語には「丁寧に聞こえる」という受け止めと「不自然だ」という違和感が併存しており、今まさに揺れている表現だとわかります。

🚩このままでは社会の対話能力が崩壊する

このまわりくどい表現の蔓延は、単なる言葉の問題ではありません。これは日本人のコミュニケーション能力そのものが劣化している証拠と言えるんですよ。自分の意思を明確に言えない。責任を持って指示を出せない。直接的な対話を避ける。この傾向が続けばどうなるか?考えてみてください。

ビジネスの現場では、意思決定が遅れ、責任の所在が曖昧になる。実際、日本の職場文化では階層的なコミュニケーションが重視され、根回しという事前調整の慣習がありますが、これも直接対決を避ける文化の表れです。
教育の場では、教師が生徒に明確な指導をできなくなるでしょうし、家庭では、親が子どもに毅然とした態度を示せなくなるでしょう。社会全体で誰も責任を取らず、誰も明確な意思を示さない。そんな社会が、どうやって問題を解決し、前に進むことができるのでしょうか。

言葉は思考を形作る。曖昧な言葉を使い続ければ、思考も曖昧になる。主体性のない表現を繰り返せば、主体性のない人間が育つ。
実際に今の日本は、まさにそのようになってしまっているではありませんか!言語の劣化を通じて、社会そのものの劣化を招いているのですからね。


🗾日本に押し寄せる危機



私はこの現象に強い危機感を持っています。なぜなら、言葉を失うことは自己を失うことにつながるから。自分の意思をハッキリ言えない人間に、何ができるというんですか?責任を回避し続ける組織に、何が成し遂げられるのでしょうか?

もちろん、状況に応じた丁寧な表現は必要ですよ。しかし、それと主張を弱めたまわりくどい表現は違います。真の丁寧さとは、相手を尊重しながらも自分の意思を明確に伝えることでしょう。

「結婚してください」「明日までに提出してください」「その意見には反対です」――このようなシンプルで明快な言葉を、私たちは取り戻さなければなりません。それこそが、相手の時間を尊重し、効率的にコミュニケーションを取る、本当の意味での礼儀です。そして国際社会に通じる在り方なんですよ!


日本語はじつに美しく豊かな言語です。

平成27年度の世論調査では、64.1%の人が「敬語は伝統的な美しい日本語として、豊かな表現が大切にされるべき」と考えているそうです。
しかし、その美しさは主体性と明確さがあってこそ成り立つもの。
おかしな表現で曖昧にすることは、日本語の美しさを損なう行為でもあるのですよ🤔



Meister CZ

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